SACD ハイブリッド

初演者ボールトによる
もっともオーセンティックな「惑星」

 

ホルスト:組曲「惑星」
サー・エイドリアン・ボールト(指揮)
ニュー・フィルハーモニア管弦楽団



価格:3,300円(税込)
ESSE-90071[SACD Hybrid]
DSD MASTERING
Super Audio CD層:2チャンネル・ステレオ[マルチなし]
美麗豪華・紙製デジパック・パッケージ使用


SOLD OUT!
 

エソテリックならではのこだわりのSACDハイブリッド・ソフト  

 オリジナル・マスター・サウンドへの飽くことなきこだわりと、Super Audio CD ハイブリッド化による圧倒的な音質向上で高い評価を得ているエソテリックによる名盤復刻シリーズ。定評のある名盤をオリジナル・マスターからリマスタリングし、世界初のSuper Audio CD ハイブリッド化を実現します。
 


イギリスの誇った最もノーブルな指揮者、サー・エイドリアン・ボールト  
 
 サー・エイドリアン・ボールト(1889〜1983)は、20世紀の英国の生んだ最もノーブルな指揮者として知られています。オックスフォード大学を経て、ライプツィヒ音楽院に留学、マックス・レーガーに作曲を学ぶかたわら、ゲヴァントハウス管弦楽団の指揮者だったアルトゥール・ニキシュに私淑し、大きな影響を受けています。イギリスに帰国後、直接親交のあったエルガー、ホルスト、ヴォーン・ウィリアムズらイギリスの作曲家の作品を取り上げて高く評価され、1930年には新しく創設されたBBC交響楽団の初代首席指揮者に就任、幅広いレパートリーをイギリスに紹介しています。戦後はロンドン・フィル、バーミンガム市響の首席指揮者を歴任しつつ、イギリス音楽界の大御所として1981年、92歳という高齢で引退するまで矍鑠とした指揮活動を続けました。  


「イギリス音楽の守護者」 ボールトにとっての代名詞    
 
 ボールトはJ.S.バッハからハヴァーガール・ブライアンまで、幅広いレパートリーで卓越した演奏を聴かせる指揮者でしたが、最も得意とするのはイギリス音楽と、ニキシュの影響を強く受けたドイツ・オーストリア音楽でした。前者では、エルガーの交響曲第2 番の復活初演やヴォーン・ウィリアムズの「ロンドン交響曲」改訂版の初演など、作曲者から盤石の信頼を置かれていたボールトならではの業績は数多く残されていますが、中でもボールトの代名詞ともいうべき作品がホルストの組曲「惑星」です。1918年9月、ロンドンのクイーズ・ホールにおける作品の非公開の全曲演奏(私的初演)が行われた際に、ホルストからの依頼で指揮をとったのがボールトであり、その成功によって「《惑星》に初めて輝きをもたらし、作曲者の感謝を受けたエイドリアン・ボールトに」という献辞の書き込まれた印刷譜を作曲者から送られています。 


ボールト最円熟期に録音された4回目の「惑星」

 ボールトは生涯に「惑星」を5回も録音しています。1945年のBBC 響とのSP録音(EMI)を皮切りに、1953年のロンドン・フィルとのモノラル録音(Nixa)、1959 年のウィーン国立歌劇場管とのステレオ録音(Westminster)、1966年のニュー・フィルハーモニア管(EMI)、そして1978年のロンドン・フィル(EMI)に至るまで、録音技術の進歩に合わせて、自分の解釈による「惑星」を残そうとするボールトの強い執念を感じさせます。

 今回Super Audio CD ハイブリッド化されるのは1966年のニュー・フィルハーモニア管との4回目の録音。1945年に創設されたフィルハーモニア管弦楽団がちょうど改組されて「ニュー・フィルハーモニア管弦楽団」として再出発した時期の録音に当たります。全曲を通じて余裕のある遅めのテンポを維持し、常に巨匠的な風格を感じさせ、あらゆる音符が雄弁に語りかけるさまは作品を知り尽くした初演者ならでは。「木星」の躍動感、有名な中間部での懐かしさ、「土星」での深い訴えかけ、「天王星」での巨大なクライマックスなど、聴きどころ満載です。虚空に消えてゆく「海王星」の絶美な音色もほかでは聴けません。

 また7 つの楽章からなる「惑星」は、3 管編成のオーケストラのために書かれており、オルガンや、最後の「海王星」では舞台の外に配置された歌詞の無い女声合唱が加わります。オーケストラの多彩な音色を駆使した作品はその意味でもオーディオファイルにふさわしいものです。 



最高の状態でのSuper Audio CD ハイブリッド化が実現

 録音は1912 年に建立されたロンドンのキングスウェイ・ホールで行われました。1984 年までオーケストラ、合唱、そしてオペラ作品の録音に引っ張りだこだった、ロンドンのもっとも有名な録音会場であり、その深みのある優れたアコースティックは数多くの名録音を生み出しました。会場の音響特性を知り尽くしたEMI のスタッフによって、細部まで明晰でありながらスケールの大きなサウンドが見事なまでに収録されています。ボールトが採用していたオーケストラの旧配置(ヴァイオリンを指揮者の左右に分けて配置)の特徴もはっきりと聴きとることができます。

 今回のSuper Audio CD ハイブリッド化に当たっては、これまでのエソテリック企画同様、使用するマスターテープの選定から、最終的なDSD マスタリングの行程に至るまで、妥協を排した作業が行われています。特にDSD マスタリングにあたっては、DAコンバーターとルビジウムクロックジェネレーターに、入念に調整されたエソテリック・ブランドの最高級機材を投入、また同社のMEXCEL ケーブルを惜しげもなく使用することで、オリジナル・マスターの持つ情報を余すところなくディスク化することができました。


 
「あらゆる《惑星》演奏のもっともスタンダードな規範として語りつがれてゆくべきディスク」

 「この作品の初演者ボールトによる全5回のレコーディング中、これは第4回目のもの。もちろんその後彼の晩年の老成したあの逸演も特筆すべきところだが、それと比肩して決してひけをとることのない当66年盤である。端正なたたずまいの中に実に豊かなリリシズムがこめられ、ニュアンスと色彩感の描出も見事。イギリス的な格調と格式を終始保ち、加えて初演者ならではの揺るがぬ自身と風格を感得させる名演といえるだろう。あらゆる《惑星》演奏のもっともスタンダードな規範として語りつがれてゆくべきディスクのひとつではないだろうか。その後のこの組曲へのすべての演奏アプローチの一つの原点となっているレコーディングとして重視したい」(『ONTOMO MOOK クラシック名盤大全 管弦楽曲編』)

 「〈土星〉の静穏でミステリアスな響かせ方を聴いていると、前後5 枚の録音のある《惑星》で、ボールトの表現が時代を追って少しづつロマン的傾向を増していくことがわかる。〈木星〉中間部の、有名なイギリス民謡風の主題も、祝典的威容の姿から懐旧の情をたたえた郷愁の雰囲気になっていく。とは言うものの、この組曲の随所にしみついていて、それが曲全体の情調を気高いものにする古き良き時代の大英帝国的イギリス上流階級好みのプライドの美しさ、管弦楽法の力感は、威厳に満ちて空想的であるボールトの独壇場だった」(レコード芸術別冊『不朽の名盤1000』)







■収録曲
グスターヴ・ホルスト
組曲「惑星」

1. 第1曲:火星、戦争をもたらす者
2. 第2曲:金星、平和をもたらす者
3. 第3曲:水星、翼のある使者
4. 第4曲:木星、快楽をもたらす者
5. 第5曲:土星、老いをもたらす者
6. 第6曲:天王星、魔術師
7. 第7曲:海王星、神秘主義者

演奏
アンブロージアン・シンガーズ
ニュー・フィルハーモニア管弦楽団
指揮:サー・エイドリアン・ボールト

[録音]1966 年7 月21 日&22 日、
ロンドン、キングスウェイ・ホール

[初出]ALP2301/ASD2301
[日本盤初出]AA-8236 (1966 年2 月)

オリジナル・レコーディング
[プロデューサー] ピーター・アンドリー
[レコーディング・エンジニア] クリストファー・パーカー
[Super Audio CD プロデューサー]大間知基彰(エソテリック株式会社)
[Super Audio CD リマスタリング・エンジニア]
杉本一家(ビクタークリエイティブメディア株式会社、マスタリングセンター)
[Super Audio CD オーサリング]藤田厚夫(有限会社エフ)
[解説]諸石幸生 歌崎和彦
[企画・販売]エソテリック株式会社