SACD ハイブリッド

鋼鉄のテクニックと完璧な音楽性。
20世紀最高の
ピアニズムを刻み込んだ、ポリーニの名盤。
理想的なマスタリングを経て、
Super Audio CD ハイブリッド化が実現。

 

ストラヴィンスキー:
「ペトルーシュカ」からの3楽章
&プロコフィエフ:
ピアノ・ソナタ第7番「戦争ソナタ」
 
マウリツィオ・ポリーニ(ピアノ)



価格:3,143円(税別)
ESSG-90088[SACD Hybrid]
DSD MASTERING
Super Audio CD層:2チャンネル・ステレオ[マルチなし]
美麗豪華・紙製デジパック・パッケージ使用


SOLD OUT!


現代ピアノ界の巨人、マウリツィオ・ポリーニ

   イタリアのピアニスト、マウリツィオ・ポリーニ(1942.1.5ミラノ生まれ)は、70歳を超えた今も精力的な演奏活動を続ける現代ピアノ界の巨人。

 9歳でデビューした神童が世界的な注目を浴びたのは、1960年のショパン・コンクールで優勝した18歳の時でした。この時の審査委員長だったルービンシュタインの「私たち審査員の中で、彼ほどうまく弾ける者がいるだろうか」という言葉からも判るように、ポリーニはこの時点でピアニストとしてのすぐれた特質を備えていたのですが、その後約8年間にわたって音楽界から姿を消し、自らの研鑽に努めたと言われています。
1968年にカムバックしてからは、世界各地で演奏活動を続けています。
      

 


ドイツ・グラモフォンへのデビュー盤  
 
 当アルバムは、1968年に音楽界へカムバックしたポリーニが、ドイツ・グラモフォンと契約を結び、同レーベルのデビュー録音となった1971年録音の名盤です。

 ストラヴィンスキーの「ペトルーシュカ」からの3楽章とプロコフィエフの「戦争ソナタ」は、いずれも20世紀前半に生み出され、ピアノという楽器の極限を試すかのような難曲ですが、それを文字通り完璧に音として再現したのがこのポリーニの録音でした。

 しなやかな鋼のような打鍵、クリアで研ぎ澄まされた響き、錯綜した声部でも明晰で決して濁らない音色、感情がないかのような冷徹な表情など、20世紀後半の時点では誰も達成したことがなかった究極のピアニズムが刻み込まれています。

 「ペトルーシュカ」の複雑なリズムの捌き方、色彩感の表出、プロコフィエフでの圧倒的な前進性、いずれをとっても、これらの作品の特質を抉り尽くした名演です。



最高の状態でのSuper Audio CDハイブリッド化が実現    
 
 録音場所はミュンヘンとのみで会場までは明記されていませんが、ポリーニの研ぎ澄まされたピアノを大きめの音像でクリアに捉えた録音も、この演奏の特質を際立たせるのに貢献しています(エンジニアは、ギュンター・ヘルマンスと並ぶDGのアナログ時代の名手ハインツ・ヴィルトハーゲン)。

 今回のSuper Audio CDハイブリッド化に当たっては、これまでのエソテリック企画同様、使用するマスターの選定から、最終的なDSDマスタリングの行程に至るまで、妥協を排した作業が行われています。

 特にDSDマスタリングにあたっては、DAコンバーターとルビジウムクロックジェネレーターに、入念に調整されたエソテリック・ブランドの最高級機材を投入、また同社のMEXCELケーブルを惜しげもなく使用することで、貴重な音楽情報を余すところなくディスク化することができました。


「ピアノ演奏における一つの奇跡」    
 
 『これはポリーニが確実に自己の中での改革を完成して再デビューしたことを、いやがうえにでも認識させるレコードである。とくにストラヴィンスキーが素晴らしい演奏だ。
テクニック面では音の美しさと強靭さにさらに磨きがかかり、輝くばかりの色彩感がある。
しかも強引とも思えるほどに、自己の意志によって音楽を運びきってしまう表現力の強さ、そしてその表現、音楽づくりの根底には、まごうことなきイタリア的なあふれるような音楽性と明るさがある。レコーディングのレパートリーとしても、これはポリーニがはじめて20世紀の作品、いやショパン以外の作品を録音したものだったが、彼自身のイメージ・チェンジのためにもセンセーショナルな成功を収めたものであったといえるだろう。』
(武田明倫、『レコード芸術別冊・演奏家別クラシック・レコード・ブックVOL.2器楽奏者編』、1988年)


『ストラヴィンスキーとプロコフィエフはポリーニがドイツ・グラモフォンの専属になって初めて録音したアルバムにあたる。ショパンの「エチュード集」とともに、日本の音楽ファンにポリーニの名前を鮮烈に印象付けた名盤である。
20世紀ロシアのピアノ音楽の最高峰に位置する2つの作品をいかに演奏するべきかということにおいて、ポリーニはここでそのひとつの最終的回答を示した。
ストラヴィンスキーでは、冒頭から力強く明晰な打鍵によって、きわめて完成度の高いピアノ作品として「ペトルーシュカ」を描き切る。そこにはバレエの音楽の気楽さはないが、作品が持つ物語性は交響詩のように抽象化されている。
最後の部分へとたたみかけてゆくところなど、現代のピアニズムの究極の姿とも言えるだろう。プロコフィエフも作品のもつ冷酷で非情な世界を克明に表現した圧倒的演奏。ポリーニによって、作品の全貌が初めて明らかにされたといっても過言ではない。』
岡本稔、『レコード芸術別冊・クラシック不滅の名盤 - 究極の100タイトル』)


『「ペトルーシュカ」は当時のポリーニの凄まじいばかりの気概がこもっている。
硬質な明るいタッチ、鋭利なリズムとダイナミックな躍動感、第2楽章の彫琢されたソノリテと精巧に造形されたパッセージ、終楽章の輝かしい和音。
スタイリッシュであると同時に、ピアニストの内面の強さを感じさせる。ポリーニ独自の美学を打ち出した記念碑的な名盤。』
(那須田務、『レコード芸術別冊・クラシック不滅の名盤1000』、2007年)


『20世紀前半に書かれたこの2つのピアノ作品のおそらく最高の演奏であり、その地位は簡単に変わるまい。ここに聴かれるポリーニのピアニズムは圧巻。
両曲の冒頭は想像しがたい早いテンポだが、一点のあいまいさもなく、非情なダイナミズムの中から確かな造形と豊かな表情さえ表現される。
彼の演奏には感傷のかけらすらなく、ひたすら明晰で硬質、冷たい緊張が張り詰めたものだが、その語法は怖しく多彩で、そのバランスの中から現代的な抒情が立ち込めてくる。稀有のピアニストであり録音である。
(『レコード芸術別冊・クラシック・レコード・ブックVOL.4器楽曲編』、1985年)


『このレコードでポリーニがわれわれの前に登場した時の新鮮な驚きを今でも忘れることができない。完璧という言葉をこの人の演奏に関してだけはためらいなく使うことができる。
一つ一つの音にきらめくような輝きを持ち、その音の連なりに宝石のような華麗さがある。プロコフィエフのソナタの終楽章で抒情とグロテスクを同時に表現するという不可能を可能にしている。ピアノ演奏における一つの奇跡と言いたい』。
(原田茂生、『レコード芸術別冊・不朽の名盤1000』、1983年)


『ポリーニのDG初録音となったストラヴィンスキーとプロコフィエフほど衝撃を受けた演奏も少ない。
それまでの2枚のショパンで彼が大変すばらしいピアニストであることはわかっていたが、過去の巨匠たちをしのぐ強靭なテクニックと豊かな表現力を兼備した、全く新しいタイプのヴィルトゥオーゾであることを強烈に印象付けたからである。
超絶技巧を必要とする難曲として有名だったこの2曲で、ポリーニほど作品の本質を明らかにした魅力的な演奏はなく、ホロヴィッツやリヒテルといえども及ばない。』
(浅里公三、『レコード芸術別冊・名曲大全 器楽曲編』、1998年)

 


■収録曲

イゴール・ストラヴィンスキー
「ペトルーシュカ」からの3楽章

1. 第1楽章 ロシアの踊り
2. 第2楽章 ペトルーシュカの部屋
3. 第3楽章 謝肉祭の日

セルゲイ・プロコフィエフ
ピアノ・ソナタ第7番変ロ長調作品83「戦争ソナタ」

4. 第1楽章 アレグロ・インクイエートーアンダンティーノ
5. 第2楽章 アンダンテ・カロローソ
6. 第3楽章 プレチピタート


[演奏]
マウリツィオ・ポリーニ(ピアノ)

[録音] 1971年9月、ミュンヘン

[LP初出] 2530 225

[日本盤LP初出] MG2371 (1972年12月)

[オリジナル/プロデューサー] カール・ファウスト

[オリジナル/ディレクター] ライナー・ブロック

[オリジナル/レコーディング・エンジニア] ハインツ・ヴィルトハーゲン

[Super Audio CDプロデューサー] 大間知基彰(エソテリック株式会社)

[Super Audio CDリマスタリング・エンジニア] 杉本一家
(ビクタークリエイティブメディア株式会社、マスタリングセンター)

[Super Audio CDオーサリング] 藤田厚夫(有限会社エフ)

[解説] 諸石幸生 吉田秀和 萩原秋彦

[企画/販売] エソテリック株式会社

[企画/協力] 東京電化株式会社

[企画/協力] 東京電化株式会社