SACD ハイブリッド

指揮者としてのブーレーズの復活と
円熟を鮮烈に印象付けた
90年代のストラヴィンスキー・チクルス最上の名演。
ブーレーズ90歳を寿ぎ、SACD ハイブリッド化!
 
 

ストラヴィンスキー:
バレエ《春の祭典》&《火の鳥》
(1910年全曲版)
ピエール・ブーレーズ(指揮)
クリーヴランド管弦楽団、
シカゴ交響楽団


価格:3,143円(税別)
ESSG-90118[SACD Hybrid]
DSD MASTERING
Super Audio CD層:2チャンネル・ステレオ[マルチなし]
美麗豪華・紙製デジパック・パッケージ使用


SOLD OUT!


クラシック音楽界の巨人、ブーレーズ

   フランスを代表する作曲家・指揮者・音楽学者で、クラシック音楽界の巨人ともいうべき、ピエール・ブーレーズ(1925.3.25 フランス、モンブリゾン生まれ)。

 今年90歳を迎え、彼が作曲家として生み出してきた作品や指揮者として残してきた録音に改めて大きな注目が集まっています。 作曲家だったブーレーズが本格的に指揮を始めたのは1958 年、ドイツのバーデン・バーデンでのこと。

 その後のヨーロッパでの活躍ぶりを知った巨匠ジョージ・セルの招きで、1965年にクリーヴランド管弦楽団を指揮してアメリカ・デビューを果たしています。

 1967年〜72年にかけては同団の首席客演指揮者およびミュージック・アドヴァイザーをつとめ、病弱なセルの補佐役を果たしつつ、セル亡き後はこのオーケストラを支え、次の音楽監督となったロリン・マゼールへと橋渡しをしました。

 1971年にはBBC交響楽団の首席指揮者、バーンスタインの後任としてニューヨーク・フィルの音楽監督に同時に就任し、名実ともに20世紀を代表する指揮者としての地位を築き上げました。1977年にはパリのIRCAMを設立、所長に就任し、そのアンサンブルであったアンサンブル・アンテルコンタンポランとの活動が始まります。


 

指揮者ブーレーズの復活  
 
 IRCAM 所長としての活動を優先させるため通常のオーケストラとの指揮活動を減らすようになったブーレーズが、再び指揮にも力を入れ始めるのはIRCAMの所長を辞した1991年以降のこと。

 これと軌を一つにするのがドイツ・グラモフォンとの専属契約でした。この契約によって、マーラー、ドビュッシー、ラヴェル、ストラヴィンスキー、バルトークなど、指揮者としてのブーレーズのレパートリーの大半が、ウィーン・フィル、ベルリン・フィル、コンセルトヘボウ管弦楽団、シカゴ交響楽団、クリーヴランド管弦楽団などの欧米のメジャー・オーケストラとともに最新のデジタル・テクノロジーで収録されることになり、円熟味を加えた指揮者ブーレーズの復活を世界的に印象付けることになりました。

 その第1弾となったのが、当アルバムに収録された1991年録音のクリーヴランド管弦楽団とのストラヴィンスキー「春の祭典」であり、その翌年にシカゴ交響楽団と収録されたのが「火の鳥」です。この2つの演奏のカップリングが、今回のSuper Audio CDハイブリッド化で初めて実現します。

※2015年2月現在




「ハルサイ」指揮者ブーレーズ     
 
 「ブーレーズといえばハルサイ」「ハルサイといえばブーレーズ」と言われるほど、ストラヴィンスキーの「春の祭典」はブーレーズの指揮者としてのイメージを広く知らしめる上で大きな役割を果たした因縁の作品といえるでしょう。

 ブーレーズは指揮者としての活動の初期、1963年にフランス国立放送管弦楽団と「春の祭典」を録音しましたが、これはブーレーズが通常の交響楽団との最初の録音でもありました。ブーレーズの演奏の特徴である知的・分析的な作品解釈、余剰を排し作品そのものの音響や構造の特徴を露わにする明晰な音づくりはまさに革命的で、「春の祭典」という未曽有の作品からそれまでの演奏では聴くことのできなかった魅力を引き出したのでした。

 その後1966年、パリ・オペラ座におけるベルク「ヴォツェック」の衝撃的な上演と並行して行われた同曲の全曲録音以降、アメリカのメジャー・レーベルの雄、コロンビア・レコードで継続的な録音活動を行なうようになったブーレーズは、1969年、最晩年のジョージ・セルに乞われて首席客演指揮者を務めていたクリーヴランド管弦楽団と、2度目の「春の祭典」の録音を行ないます。

 ステレオのステージを左右いっぱいに展開しAオーケストラの各パートを鮮明に収録したコロンビアのサウンドは、ブーレーズの明晰・明快な音楽作りとこれ以上ないほどにマッチし、コンサートとは離れたところで音楽を味わう録音芸術としての各アルバムの価値を高め、録音アーティストとしてのブーレーズの魅力を際立たせました。



22年ぶりの再録音    
 
 そして、その22年後に同じクリーヴランド管弦楽団と再録音したのがドイツ・グラモフォンでの専属契約第1弾となった「春の祭典」だったというのも、ブーレーズらしい選択だったといえるでしょう。

オーケストラの本拠地で、響きの少ないセヴェランス・ホールで細部まで明晰に収録された1969年のコロンビア盤に対し、1991年盤は、より響きの多い録音会場であるメイソニック・オーディトリアムで収録され、ドイツ・グラモフォンらしいコンサート・プレゼンス的な全体の響きが重視されています。

ブーレーズの音楽作りの核心である精緻なバランス作りはそのままに、
よりスケールの大きな解釈が聴けるのが大きな特徴といえるでしょう。



「火の鳥」のバレエ全曲盤の魅力を開示    
 
 カップリングの「火の鳥」も、ブーレーズのトレードマークの一つ。
「春の祭典」とは異なり、1910年に初演されて以来、オリジナルのバレエ全曲盤のほか、
年代の異なる3つの組曲が存在する「火の鳥」では、どの楽譜を選ぶかによって指揮者の選択眼が問われます。

ブーレーズは「火の鳥」をストラヴィンスキーが最初に構想した4管編成で演奏すべきものと考えており、1967年にBBC交響楽団とコロンビアに録音した際にはバレエ全曲版からそのまま編まれた1910年版の組曲という非常に珍しい版を使い、さらに1975年にはニューヨーク・フィルハーモニックとバレエ全曲版を録音しています。

アナログ時代の決定盤とされたそのニューヨーク・フィル盤から17年後、オーケストラをシカゴ交響楽団に変えて録音した当盤は、シカゴ響の持つ圧倒的なヴィルトゥオジティを全開させ、精密でありながらも骨太で密度の濃い響きを実現させている点が聴きものです。

アナログ時代にライナーやショルティの指揮で幾多の名盤を生み出してきたシカゴのオーケストラ・ホールは、オーケストラの各パートの明晰さを保ちながら、トゥッティでのスケール感の豊かさを感じさせ、まさにオーケストラを聴く醍醐味を堪能することが出来ます。




最高の状態でのSuper Audio CDハイブリッド化が実現    
 
 今回のSuper Audio CDハイブリッド化に当たっては、これまでのエソテリック企画同様、使用するマスターの選定から、最終的なDSDマスタリングの行程に至るまで、妥協を排した作業が行われています。

 特にDSDマスタリングにあたっては、DAコンバーターとルビジウムクロックジェネレーターに、入念に調整されたエソテリック・ブランドの最高級機材を投入、また同社のMEXCELケーブルを惜しげもなく使用することで、貴重な音楽情報を余すところなくディスク化することができました。



「最初の音から最後の音、いや休符にいたるまでまったく曖昧さを残さない」

  「ブーレーズの音楽は最初の音から最後の音、いや休符にいたるまでまったく曖昧さを残さない。1991年に録音された『春の祭典』では幾分テンポが動いただけで、以前の録音と解釈の基本的な変化はない。
だが、かつてよりダイナミックな動きが強調され、エネルギッシュで健康的な演奏は、
バレエの情景をまざまざとよみがえらせて、わくわくさせる。」
(『クラシック名盤大全 管弦楽曲編』、1998年)


 「(『火の鳥』は)シカゴ響の怪物的なスケールと、名人的な個人技を含む超絶テクニックの双方を、ブーレーズの精緻なリードが文字通りフルに引き出し、結びつけているところにこの快演の鍵がある。特殊楽器入り大編成オケの響きの魅力満載。」

(『クラシック名盤大全 管弦楽曲編』、1998年)


 「ブーレーズのストラヴィンスキーはじつにおもしろい。バレエのシーンがオーヴァーラップしていく音楽の並列的な構成が、スリルいっぱいの音響空間へとみごとにまとめられている。ロシアの爆発するような春の訪れを描いた「春の祭典」のリズムの明晰さと奔放なエネルギーの発散。これ以上の演奏はなかなか望めない名演である。
以前の解釈と根本的な解釈の違いはない。しかしブーレーズの指揮者としての円熟を示すかのように、肩の力が抜けて表現にも余裕が出てきた感じで、クリーヴランド管弦楽団の精度が向上したのと相まって、健康的に音群が炸裂していく。スケールもはるかに大きく感じされる。」

(『ONTOMO MOOK クラシック不滅の名盤800』、1997年)




■収録曲

イーゴル・ストラヴィンスキー

バレエ音楽「春の祭典」


第1部:大地礼賛

1. 序奏

2. 春のきざし(乙女たちの踊り)

3. 誘拐

4. 春の踊り

5. 敵の都の人々の戯れ

6. 賢人の行列〜大地への口づけ〜賢人

7. 大地の踊り

第2部:いけにえ

8. 序奏

9. 乙女たちの神秘な集い

10. いけにえへの讃美

11. 祖先の呼び出し

12. 祖先の儀式

13. いけにえの踊り


バレエ音楽「火の鳥」(1910年全曲版)

14. 序奏

第1場

15. カスチェイの魔法の庭園

16. イワンに追われた火の鳥の出現

17. 火の鳥の踊り

18. イワンに捕えられる火の鳥

19. 火の鳥の嘆願〜
魔法にかけられた13人の王女たちの登場

20. 金のリンゴと戯れる王女たち

21. イワン王子の突然の登場

22. 王女たちのロンド

23. 夜明け〜カスチェイ城内に入るイワン王子

24. 魔法のカリヨン〜カスチェイの番兵の怪物たちの登場、
イワンの捕獲〜不死身の魔王カスチェイ登場〜カスチェイとイワンの対話
〜王女たちのとりなし〜火の鳥の出現

25. 火の鳥の魔法にかかったカスチェイの手下たちの踊り

26. カスチェイ一党の凶悪な踊り

27. 火の鳥の子守歌〜カスチェイのめざめ
〜カスチェイの死〜深い闇

第2場
28. カスチェイの城と魔法の消滅
〜石にされていた騎士たちの復活〜大団円


[演奏]

クリーヴランド管弦楽団(春の祭典)

シカゴ交響楽団(火の鳥)

指揮:ピエール・ブーレーズ


[録音]
1991年3月、クリーヴランド、メイソニック・オーディトリアム(春の祭典)、
1992年12月、シカゴ、オーケストラ・ホール(火の鳥)

[オリジナル・レコーディング]
[レコーディング・プロデューサー]
カール=アウグスト・ネーグラー

[バランス・エンジニア]
ヘルムート・バーク(春の祭典)、ライナー・マイヤール(火の鳥)

[レコーディング・エンジニア]
ヨーブスト・エーバーハルト(火の鳥)

[エディティング]
ラインヒルト・シュミット、アンドルー・ウェドマン(春の祭典)、
ライナー・ヘッブボーン(火の鳥)

[Super Audio CDプロデューサー]
大間知基彰(エソテリック株式会社)

[Super Audio CDリマスタリング・エンジニア] 杉本一家
(ビクタークリエイティブメディア株式会社、マスタリングセンター)

[Super Audio CDオーサリング] 藤田厚夫(有限会社エフ)

[解説] 諸石幸生 柴田龍一

[企画/販売] エソテリック株式会社

[企画/協力]東京電化株式会社