SACD ハイブリッド

作品から精妙な色彩の輝きを引き出す
名匠アンセルメの手腕を鮮烈に刻印した
アナログ時代の超定番。
黄金時代のデッカ・サウンドの粋を極めた名録音。
 
 

リムスキー=コルサコフ:シェエラザード
 
ムソルグスキー:歌劇《ホヴァンシチナ》から
ペルシャの女奴隷たちの踊り
 
グリンカ歌劇《ルスランとリュドミラ》序曲
 
ボロディン:歌劇《イーゴリ公》からダッタン人の踊り
 
エルネスト・アンセルメ(指揮)
スイス・ロマンド管弦楽団


価格:3,143円(税別)
ESSD-90119[SACD Hybrid]
DSD MASTERING
Super Audio CD層:2チャンネル・ステレオ[マルチなし]
美麗豪華・紙製デジパック・パッケージ使用


SOLD OUT!


精緻で色彩的な演奏で一時代を築いた名指揮者アンセルメ

   スイスの名指揮者エルネスト・アンセルメ(1883.11.11-1969.2.20)は、ディアギレフ率いるロシア・バレエ団の指揮者として、ストラヴィンスキー「兵士の物語」「うぐいす」「プルチネルラ」、ファリャ「三角帽子」、プロコフィエフ「道化師」、サティ「パラード」などの20世紀前半の重要作を次々初演し、また何よりもスイス・ロマンド管弦楽団の創設者(1919年)にして音楽監督としてこのオーケストラを世界的な存在に育て上げたことで知られています。

1946年から専属契約を結んだデッカ・レーベルへの膨大な録音を行ない、フランス音楽、ロシア音楽、20世紀音楽、そしてドイツ・オーストリア音楽までを網羅。

その中には、優れた録音技術(モノラル時代はffrr=full frequency range recording広帯域録音⇒ステレオ時代にはffss=full frequency stereo sound)と相俟って、LP時代に優秀録音として高い評価を得たものが数多くあります。


 

ロシア・バレエ団所縁の「シェエラザード」  
 
 当アルバムは、当シリーズでも2008年にSACDハイブリッドとして発売し好評をいただいた「三角帽子」と並び、数多いアンセルメの録音の中でも殊更評価が高く、アナログ時代を通じて「シェエラザード」の代表盤とされていた歴史的名盤です。

1960年の録音で、アンセルメにとって1952年(モノラル)と1954年9月(ステレオ)のパリ音楽院管弦楽団との2種類の録音以来の再録音となったものです。

ステレオ期のアンセルメ録音を一手に引き受けたプロデューサーのジェームズ・ウォーカーとデッカのステレオ録音の生みの親であるロイ・ウォレスが組んだ名録音でもあります。

また、「シェエラザード」は、アンセルメが指揮者として世界的な注目を浴びるきっかけとなったセルゲイ・ディアギレフ率いるロシア・バレエ団での活動とも所縁の深い演目であり、アコースティック時代だった1916年にアメリカ・コロンビアのためにロシア・バレエ団のオーケストラとともに行なった録音でも第1楽章と第4楽章の抜粋が含まれていました。

これはアンセルメにとって生涯初めての録音となったもので、その意味でも「シェエラザード」はアンセルメにとって重要な作品であり続けたといえるでしょう。

カップリングの「ダッタン人の踊り」はLP初出時から組み合わせられていたもので、そのほかのロシア音楽の名品は1964年に録音された「Russian Delights」という小品集に含まれていたものです。




デッカが愛用した伝説の名ホール、ヴィクトリア・ホールにおける名録音     
 
 アンセルメとスイス・ロマンド管弦楽団によるデッカへの録音は、基本的にオーケストラの本拠地であったジュネーヴのヴィクトリア・ホールで行われました。

19世紀にジュネーヴ駐留のイギリス総領事によって建立されたこのホールは、演奏会場として優れた音響を誇るのみならず、レコーディングの会場としても最適でした。

録音技術に高い関心を持ち、録音セッションにおいてエンジニアに非常に協力的だったアンセルメの録音は当初から高水準で知られており、アンセルメが1954年5月、ヴィクトリア・ホールで行なわれたデッカによる初めてのステレオ録音のセッションに起用されたのも自然な成り行きでした。

そしてその時収録されたリムスキー=コルサコフの交響組曲「アンタール」以来、この伝説のホールで幾多の名録音が生み出されることになりました。

ウィーンのゾフィエンザール、ロンドンのキングスウェイホールなどとともに、細部の音に至るまで明晰に収録しようとするデッカの録音ポリシーには理想的な会場で、そこでの録音は、オーケストレーションの綾や空間性を生々しく再現する骨太なデッカ・サウンドの代名詞ともなりました。



最高の状態でのSuper Audio CDハイブリッド化が実現     
 
 アンセルメの「シェエラザード」は、デジタル初期からCD化され、さらに2002年にはDECCA ORIGINALSで24bit/96kHzリマスタリングが行なわれていますが、今回は初のDSDリマスタリングとなります(2015年2月現在)。

今回のSuper Audio CDハイブリッド化に当たっては、これまでのエソテリック企画同様、
使用するマスターの選定から、最終的なDSDマスタリングの行程に至るまで、妥協を排した作業が行われています。

特にDSDマスタリングにあたっては、DAコンバーターとルビジウムクロックジェネレーターに、入念に調整されたエソテリック・ブランドの最高級機材を投入、また同社のMEXCELケーブルを惜しげもなく使用することで、貴重な音楽情報を余すところなくディスク化することができました。


「まさに巨匠のそれと呼ぶにふさわしい」

  「LPのジャケットを飾っていたドラクロアの名画とともに忘れがたい一枚。オーケストラをリードするここでのアンセルメの手腕は、まさに巨匠のそれと呼ぶにふさわしい。
どんな局面でもオーケストラを決して煽らず、一貫して丹念な彫琢を貫く。
とりわけ音色感覚をきわめてデリケートに駆使して、この曲にこんなにもあったのかと思うほどの複雑な妙味を掘り起こしているのである。スイス・ロマンド管もそれに応えて、当時の第一級の楽団としての力量をいかんなく発揮している。とくに管セクションが好調。」

(『クラシック名盤大全 管弦楽曲編』、1998年)


 「『シェエラザード』には音響的な魅力を追うあまりけばけばしさと隣り合わせの、音楽的にはむしろ内容の薄い演奏が少なくないが、このアンセルメ盤はまさにそれとは対極的な位置を占める典型的な一枚である。
抑え気味の表現の中にも、丹念な彫琢とデリケートな音色感覚から生み出される実にさまざまな妙味がいっぱいで、アンセルメの指揮術の奥の手をそこにみる思いがする。」

(『レコード芸術別冊 クラシック・レコードブックVol.2管弦楽曲編』、1985年)




■収録曲

ニコライ・リムスキー=コルサコフ

交響組曲《シェエラザード》作品35

1. I. 海とシンドバッドの船

2. II. カランダール王子の物語

3. III. 若い王子と王女

4. IV. バグダットの祭り――海――
青銅の騎士の立つ岩での難破――終曲


モデスト・ムソルグスキー

5. 歌劇《ホヴァンシチナ》からペルシャの女奴隷たちの踊り


ミハイル・グリンカ 

6. 歌劇《ルスランとリュドミラ》序曲


アレクサンドル・ボロディン

歌劇《イーゴリ公》から

7. ダッタン人の娘たちの踊り

8. ダッタン人の踊り


[演奏]

ローランド・フェニヴェス(ヴァイオリン)[シェエラザード]
ローザンヌ青少年合唱団、
ローザン放送合唱団(合唱指揮:アンドレ・シャルレ)[イーゴリ公]
スイス・ロマンド管弦楽団
指揮:エルネスト・アンセルメ


[録音]
1960年11月(シェエラザード、イーゴリ公)、
1964年4月(ホヴァンシチナ、ルスランとリュドミラ)、
ジュネーヴ、ヴィクトリア・ホール

[初出] SXL2268(シェエラザード、イーゴリ公)、
SXL6119(ホヴァンシチナ、ルスランとリュドミラ)

[日本盤初出] SLC1064
(1961年12月、シェエラザード、イーゴリ公)

[オリジナル・レコーディング]
[レコーディング・プロデューサー]
ジェームズ・ウォーカー(シェエラザード、イーゴリ公)、
マイケル・ブレムナー(ホヴァンシチナ、ルスランとリュドミラ)

[レコーディング・エンジニア]
ロイ・ウォレス(シェエラザード、イーゴリ公)、
ジェームズ・ロック(ホヴァンシチナ、ルスランとリュドミラ)

[Super Audio CDプロデューサー]
大間知基彰(エソテリック株式会社)

[Super Audio CDリマスタリング・エンジニア] 杉本一家
(ビクタークリエイティブメディア株式会社、マスタリングセンター)

[Super Audio CDオーサリング] 藤田厚夫(有限会社エフ)

[解説] 諸石幸生 志鳥栄八郎

[企画/販売] エソテリック株式会社

[企画/協力] 東京電化株式会社