SACD ハイブリッド

ポリーニによる「ベートーヴェン革命」は、

ここからスタートした。

ベートーベン演奏史を塗り替えた

革新的な名盤録音。  

 
ベートーヴェン
ピアノ・ソナタ 第30番・第31番・第32番
マウリツィオ・ポリーニ(ピアノ)

価格:3,143円(税別)
ESSG-90150[SACD Hybrid]
DSD MASTERING
Super Audio CD層:2チャンネル・ステレオ[マルチなし]
美麗豪華・紙製デジパック・パッケージ使用

大好評、販売中!



ポリーニ芸術の1970年代のクライマックスを刻印


イタリアの名ピアニスト、

マウリツィオ・ポリーニ(1942.1.5生まれ)が

一躍その名を世界にとどろかせたのは、

1960年のショパン国際コンクールで

優勝を飾った18歳の時のこと。

 

審査員全員一致の推挙であり、

しかも審査員長だったルービンシュタインの

「私たち審査員の中で、彼ほど上手く弾けるものがいようか」という言葉は、

ポリーニという存在が

いかにセンセーショナルであったかを物語っています。

ミラノのヴェルディ音楽院卒業の

はるか前の9歳でデビューを果たした若きピアニストは、

しかし、この直後に公の演奏活動から身を退き、

レパートリーの拡充を含め

さらに自らの芸術を深めるための研鑽を続けたのでした。

 

そしてそのドロップアウトの期間を経て

1968年に演奏活動を本格的に再開し、

さらに1971年にはヨーロッパ各地への

広範なリサイタル・ツアー、それとドイツ・グラモフォンからの

デビュー・アルバム「ストラヴィンスキー:「ペトルーシュカ」からの

3楽章&プロコフィエフ:ピアノ・ソナタ第7番「戦争ソナタ」」

[当シリーズでSuper Audio CDハイブリッド化済み]によって、

再び世界を驚愕させることになりました。

 

その後「ショパン:練習曲集」(1972年)、

「シューマン:幻想曲&ピアノ・ソナタ第1番」と

「シューベルト:さすらい人幻想曲&ピアノ・ソナタ第16番」(ともに1973年)、

「シェーンベルク:ピアノ・ソロ作品集」「ショパン:24の前奏曲」(ともに1974年)と、

毎年のようにそれまでの演奏・録音史を

根本から塗り変えるような鮮烈な

ソロ・アルバムを続々と発表し続けました。

 

その1970年代のポリーニの一つの

クライマックスが結実したのが

1975年から1977年にかけて録音された

ベートーヴェンの後期ピアノ・ソナタ集で、

今回は当シリーズで2015年に

Super Audio CDハイブリッド化された

ピアノ・ソナタ第28番と第29番「ハンマークラヴィーア」に続き、

第30番・第31番・第32番の後期三大ソナタの登場です。

 
 


ベートーヴェンのピアノ・ソナタ演奏・録音史の転換期に聳え立つ頂点  

 

ヴィルヘルム・バックハウスや

ヴィルヘルム・ケンプのような、

19世紀生まれの名手による

ドイツ的な演奏解釈こそが

まだまだベートーヴェン作品の本流、

とされていた1970年代当時の風潮からすると、

ポリーニによるベートーヴェン(しかも後期ソナタ)の解釈は、

全く独自の、鮮烈なものでした。

 

それまでベートーヴェンの演奏、

特に後期の作品の演奏につきまとっていた

衒学的な思想性や深遠な精神性とは

きっぱりと袂を分かち、

まるでポリーニが得意としていた

シュトックハウゼンやノーノを演奏する時のように、

楽譜に書かれた音符や指示を純粋に

音楽的に捉えることのできる感性によって

論理的に再構築された先鋭な演奏がそこにあったのです。

 

ポリーニがこの新しいベートーヴェン解釈を打ち立てたのは、

ポリーニとは少し違うものの、

同じくらいに革新的だったアプローチで

ピアノ・ソナタの全曲録音を成し遂げつつあった

アルフレート・ブレンデルのベートーヴェンが

世界的に評価された時期と同じであり、

「演奏の世紀」と称された20世紀後半における

ベートーヴェン演奏史の転換期に

いきなり聳え立ったひとつの頂点でもありました。 





録音会場の差異を感じさせない統一のとれたDGサウンド     

 

収録はポリーニが

それまでの録音で好んで使ってきた

ミュンヘンのヘルクレスザールとウィーンの

ムジークフェラインザールとの

2か所に分けて行われています。

 

演奏会だけでなく録音会場としても適している

ヘルクレスザールの使用は当然としても、

客が入らない録音セッションの場合、

残響成分が多く、特にソロのセッション録音には不向きとされる

ムジークフェラインザールが

使われているのは珍しいことです。

 

そういう条件ではあっても、

収録に当たったバランス・エンジニアは

ドイツ・グラモフォンの名手クラウス・ヒーマンであり、

会場の差異を感じさせない

音作りがなされているのみならず、

ドイツ・グラモフォンのホールトーンを生かした

ニュートラルなサウンドからはさらに一歩踏み込んで、

ポリーニの明晰極まりないタッチから生み出される

一音一音の鮮烈さが

余すところなく捉えているという点でも、

まさに名録音といえましょう。




最高の状態でのSuper Audio CDハイブリッド化が実現
  
 
ポリーニはこの後期のソナタと並行して、

同じベートーヴェンのピアノ協奏曲でも

全曲の録音をベームおよびヨッフム指揮の

ウィーン・フィルと完成させており、

自らのベートーヴェン解釈の方向性を固めています。

 

特記すべきは、この後期ソナタのあと、

次にポリーニがソロ録音を行なうのは

1983年になってからのことであり

(シューマン「交響的練習曲&アラベスク」)、

さらにベートーヴェンのソナタを録音するのは

その5年後の1988年まで待たねばなりませんでした

(「テンペスト」「ワルトシュタイン」「告別」を含む中期ソナタ集)。

 

ソロ録音の発表におけるこの長いブランクは、

もしかしたらポリーニの後期ソナタにかけた

思い入れの深さを物語っているのかもしれません。

 

とにかくこの録音は歴史的な名盤だけに

CD発売初期からデジタル・リマスター化されており、

その後ORIGINALSのシリーズでもリマスター化され、

さらに2012年にはシングルレイヤーのSuper Audio CDでも

発売されていますが、

今回のSuper Audio CDハイブリッド化に当たっては、

これまでのESOTERIC企画同様、

使用するアナログ・マスターテープの選定から、

デジタルへのトランスファー、

そして最終的なDSDマスタリングの行程に至るまで、

妥協を排した作業が行われています。

 

特にDSDマスタリングにあたっては、

DAコンバーターとルビジウムクロックジェネレーターに、

入念に調整されたESOTERICブランドの最高級機材を投入、

またMEXCELケーブルを惜しげもなく使用することで、

貴重な音楽情報を余すところなく

ディスク化することができました。




「作品の最初の一音から最後の一音までを音楽的論理と感性で読み切った演奏」     

 「このベートーヴェンの後期のソナタの演奏は、

音楽的にも、またベートーヴェンの音楽言語の持つ

一流のロジックに関しても、作品を吟味する

ポリーニの醒めた眼、という点からも、

今日のベートーヴェン解釈のインターナショナルな

様式のひとつと考えられる」

(レコード芸術別冊『演奏家別レコードブックVOl.2』、1988年)

 

「ポリーニの演奏するベートーヴェンの後期ソナタは、

概してあまりにも繊細すぎると思う向きもあるだろう。

一口にいって非常に透明な音色で澄み切った演奏をしている。

このような演奏には確かに一つの美が存在する。

内的な深さに欠けると感ずる人もいるかもしれないが、

音楽自体は大変美しく再現されているのだ。」

 (『クラック・レコード・ブックVOl.4 器楽曲編』、1985年)

 

「いかなるあいまいさも残さず、

作品の最初の一音から最後の一音までを

音楽的論理と感性で読み切った演奏である、

という点では、まさにポリーニならではの演奏。

それぞれの音楽はその独特の味わいと

表現のスケールの大きさと深さを示しながら、

しかもまことに自然に歌われており、

聞き手は瞬間ごとに納得しきった充足感を感じながら

最後まで運ばれてゆく。その意味では聞き手の方でも

一瞬も息を抜くことができない。とくに第31番の演奏は、

この作品の完璧な解釈と演奏の一つといえる。」

(『クラック・レコード・ブックVOl.4 器楽曲編』、1985年)

 

「ポリーニほどベートーヴェンの後期の

ソナタの精密に構築された音の世界を

緻密に表現したピアニストはいない。

一つ一つの音が充分に吟味されたポリーニの演奏は、

強弱や微妙な音彩などすべてが明快であり、

ベートーヴェンが最後に到達した巨大な作品を

初めて鮮明に表現した画期的な演奏といっても過言ではない。」

 (『ONTOMO MOOK クラシック不滅の名盤800』、1997年)

 

「その強靭なタッチと明晰な表現によって、

ベートーヴェンの音楽を厳しく造形して、一点の曇りもない。

しかも、超凡な技巧に溺れぬ揺るぎない演奏は、

きわめて理知的で現代的であるとともに、細部まで精妙を極め、

あくまで深く澄んだ詩情を

しなやかな感覚でくっきりと掬い取っている。」

(『クラシック名盤大全 室内楽曲編』、1998年)

 


■収録曲

ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン

1.ピアノ・ソナタ 第30番 ホ長調 作品109  

第1楽章:ヴィヴァーチェ、マ・ノン・トロッポ――アダージョ・エスプレッシーヴォ  

第2楽章:プレスティッシモ  

第3楽章:じゅうぶんに歌い、心からの感情をもって

(アンダンテ・モルト・カンタービレ・エド・エスプレッシーヴォ)

 

 2.ピアノ・ソナタ 第31番 変イ長調 作品110  

第1楽章:モデラート・カンタービレ・モルト・エスプレッシーヴォ  

第2楽章:アレグロ・モルト  

第3楽章:アダージョ、マ・ノン・トロッポ――

フーガ(アレグロ、マ・ノン・トロッポ)

 

3.ピアノ・ソナタ 第32番 ハ短調 作品111  

第1楽章:マエストーソ――

アレグロ・コン・ブリオ・エド・アパッシオナート  

第2楽章:アリエッタ

(アダージョ・モルト・センプリーチェ・エ・カンタービレ)


[演奏]

マウリツィオ・ポリーニ(ピアノ)


[録音]

1975年6月、ミュンヘン・ヘルクレスザール(作品109・作品110)、

1977年1月、ウィーン、ムジークフェライン大ホール(作品111)

 

 [初出] 2530 645(作品109・作品110) 2530870(作品111)

[日本盤初出] MG1006(作品109・作品110/1976年5月),

  MG1105(作品111/1978年2月)

 

 [オリジナル・レコーディング] [プロデューサー] ライナー・ブロック

 [バランス・エンジニア] クラウス・ヒーマン

[Super Audio CDプロデューサー] 大間知基彰(エソテリック株式会社)

[Super Audio CDリマスタリング・エンジニア] 杉本一家

(ビクタークリエイティブメディア株式会社、マスタリングセンター)

 

[Super Audio CDオーサリング] 藤田厚夫(有限会社エフ)

[解説] 諸石幸生 渡辺 護

 [企画/販売] エソテリック株式会社

[企画/協力] 東京電化株式会社