SACD ハイブリッド

ピアノで弾かれた

バッハの最高峰の一つ。  

 
J.S. バッハ:ピアノ作品集

マルタ・アルゲリッチ(ピアノ)

 

価格:3,143円(税別)
ESSG-90161[SACD Hybrid]
DSD MASTERING
Super Audio CD層:2チャンネル・ステレオ[マルチなし]
美麗豪華・紙製デジパック・パッケージ使用

大好評、販売中!



アルゲリッチ躍進と充実の20年間を締めくくる名演  

 

クラウディオ・アラウ、ネルソン・フレイレ、

ダニエル・バレンボイム、ブルーノ・レオナルド・ゲルバーなど、

南米出身の名ピアニストは数多いですが、

その中でも最も奔放かつ情熱的な演奏で知られるのが

マルタ・アルゲリッチ

(1941.6.5ブエノスアイレス生まれ)でしょう。

 

5歳から名教師スカラムッツァに学び、

8歳でモーツァルトとベートーヴェンの

ピアノ協奏曲を弾いてデビュー。

14歳の時ヨーロッパにわたり、

グルダ、アスケナーゼ、ベネデッティ・ミケランジェリ、

マガロフら名だたるピアニストに学んでいます。

 

アルゲリッチの名がピアノ界にとどろいたのは

1957年、16歳でブゾーニとジュネーヴの

2つの国際コンクールで相次いで優勝を飾った時のこと。

それを受けて1960年には

名門ドイツ・グラモフォンから

デビュー・アルバムを発表、

さらに5年後の1965年、

第7回ショパン国際ピアノ・コンクールでの優勝は、

アルゲリッチの名と、

美しい黒髪をなびかせた

鍵盤の巫女を思わせる容姿とを

一躍世界的なものにしたのでした。

 

ショパン・コンクール優勝後は

文字通り世界的な演奏活動を開始し、

ドイツ・グラモフォンへの録音も活発化し、

リスト、シューマン、ショパン、ラヴェルらのピアノ曲、

あるいはアバド/ベルリン・フィル、ロンドン響、

デュトワ/ロイヤル・フィルらとの協奏曲を次々と録音し、

絶大な人気を博しました。

 

そして乗りに乗った1960年代〜70年代の

20年間の躍進と充実を

締めくくるように録音されたのが、

このバッハ・アルバムであったのです。  





20世紀のバッハ演奏史に残る名盤     

 

1979年といえば、

20世紀のピアノによる

バッハ演奏に大きな足跡を残した

グレン・グールドが「トッカータ集」を録音し、

バッハの主要鍵盤独奏曲のほとんどを

録音し終えた年に当たります

(この年から翌年にかけて小プレリュード、

フゲッタ、フーガを録音し、

1981年にゴールドベルク変奏曲の再録音を行なって、

グールドのバッハ録音は完結します)。

 

20世紀は

バッハ当時の演奏様式の研究が進化し、

バッハ演奏にもチェンバロやクラヴィコードなどの

時代楽器(しかもバッハ当時の楽器やコピー)が

使用されるようになった時期であり、

ピアノによるバッハ演奏はそれまでほど

単純かるロマンティックなものではなくなり、

時代様式をどのように取り入れていくかを

考慮する必要が出てきました。

 

グールドは、

19世紀的ロマンティシズムには背を向け、

ペダルを控えめにし、

ポリフォニックな側面をクローズアップする

独自の手法でその点に折り合いをつけ、

ピアノによる20世紀のバッハ演奏の

一つのスタンダードを作り上げました。

 

グールドが

1956年にゴールドベルク変奏曲の

LPを発表して以降、

バッハ演奏でグールドの演奏を

避けて通ることはできないという

風潮が強くなりましたが、

この1979年のアルゲリッチは、

そうした風潮には目もくれず、

自らの本能が指向するかのような自由自在な、

かつ極めて音楽的なバッハ解釈を披露したことで、

大きな話題になりました。

 




現在のところアルゲリッチ唯一のバッハ・アルバム

 

トリルを主音から入れること、

各部の繰り返しの選択の仕方、

また繰り返す場合も特に装飾を加えないこと、

「パルティータ第2番」「イギリス組曲第2番」の

それぞれの楽章を間髪いれずに続けていること、

ポリフォニックな声部の絡みよりも

流れを重視する点など、

バッハの代表的な

3つの曲集から短調の

作品ばかりを選んでいるという選曲も含め、

アルゲリッチの個性は

作品のあらゆる箇所に明確に刻み込まれています。

 

アルゲリッチは

このアルバムのほかには

バッハのソロ作品をほとんど取り上げておらず

(大曲ではマイスキーとの3曲のチェロ・ソナタ、

4台のピアノのための協奏曲がある程度)、

その意味で極めて貴重な

録音であるといえるでしょう。

 





最高の状態でのSuper Audio CDハイブリッド化が実現
  
 

録音は、

ベルリン・シュテグリツ=ツェレンドルフ区南西の

ランクヴィッツ地区にある

ジーメンス=ヴィラの音楽ホールで行なわれました

(そのためグラモフォンは、

このアルゲリッチのアルバム表記のように

ある時期まで「スタジオ・ランクヴィッツ」と称していました)。

 

1910年代に

フリードリヒ・クリスティアン・コーレンスによって

建立されたこのジーメンス=ヴィラは、

1925年にドイツの大手電機企業

シーメンス(ジーメンス)によって買い取られ、

その名で呼ばれるようになりました。

 

当時のシーメンスの当主

ヴェルナー・フェルディナント・フォン・ジーメンスは

アマチュアの指揮者でもある音楽愛好家であり、

1928年に

このヴィラの中に

800平方メートルの音楽ホールを建造しました。

その優れた音響効果は、

ステレオ時代以降、

レコードおよびラジオ放送の録音会場として

急激にクローズアップされ、

東西ドイツが統一されるまでは

ダーレムのイエス・キリスト教会と並んで、

最も頻繁に録音会場として

使用されるようになりました。

 

イエス・キリスト教会が

大規模なオーケストラでさえ

録音可能な空間であるとしたら、

ジーメンス=ヴィラは

室内楽やソロ、あるいはピアノ伴奏の歌曲向きで、

小編成の音楽をじっくりと聴かせる

録音に向いているといえるでしょう。

 

アルゲリッチのグラモフォンにおける

ソロ録音はミュンヘンのヘルクレスザールでの

録音が最も多いのですが、

このジーメンス=ヴィラは

1974年11月のラヴェル・アルバムでも使われていました。

 

エンジニアは

ドイツ・グラモフォンの

ヴェテラン、ハインツ・ヴィルトハーゲンが手掛けており、

バッハ作品に相応しいインティメートな空間の中で、

ピアノの響きが絶妙な明晰度で捉えられています。

 

今回の

Super Audio CDハイブリッド化に当たっては、

これまで同様、使用するマスターテープの選定から、

最終的なDSDマスタリングの行程に至るまで、

妥協を排した作業が行われています。

 

特にDSDマスタリングにあたっては、

DAコンバーターとルビジウムクロックジェネレーターに、

入念に調整されたESOTERICの最高級機材を投入、

またMEXCELケーブルを惜しげもなく使用することで、

オリジナル・マスターの持つ情報を余すところなく

ディスク化することができました。

 




『本能のおもむくままのようにして、自在に、奔放にバッハの作品を演奏』     

  

「アルゲリッチのバッハで際立っているところは、

リズムを歯切れよく刻みながら、

しかもそれだけが機械的で乾いた演奏でなく、

情感を湛えていかにもみずみずしい印象を与える点であろう。

『トッカータ』のフーガの部分、

『パルティータ』のシンフォニアの

ゆるやかな序奏に続く部分などでも彼女は、

まさにバッハの音楽にのって自在に弾きまわしており、

いかにも熟した演奏を聴かせる。」

(『レコード芸術』1980年7月号、特選盤)

 

 

「アルゲリッチの魅力である一種の

即興的な音楽性と感覚は

バッハの作品においても見事に生かされている。

感覚的に実に新鮮であり、

バッハ解釈に付きまといがちな重々しさを免れており、

バッハの場合であっても音楽が

抒情的な芸術であることをはっきりと教えてくれる。

彼女は力まずに自然体でバッハに対面している。

それでいて作品の構築的な音楽の

素晴らしさを犠牲にしてはいない。」

(『レコード芸術』1980年7月号、特選盤)

 

 

 「アルゲリッチは

まさに本能のおもむくままのようにして、

自在に、奔放にバッハの作品を演奏している。

それでいて、出来上がった演奏には、

他の誰でもないバッハの音楽ならではのすごさのようなものが、

少しの無理もなく身についている。

こんな演奏はピアノに限らず、

ちょっと他では聴いたことがない。

彼女の天才たる所以だろう。」

(吉井亜彦、『レコード芸術別冊・不朽の名盤1000』、1984年)

 

 

「アルゲリッチは

ここでも持ち前の奔放な情熱や感興に

富んだ表現を無理に抑え込むことなく、

自然体でバッハに対している。

それだけにイギリス組曲やパルティータのリズムなど、

ちょっと独特のところもあるが、

自分の感性と読みに忠実に、しかも、

しなやかな余裕を持って弾かれた演奏は、

決してバッハの音楽を歪めることはないし、

思わずため息が出るほど清新な生命力と

しなやかな感興に富んだ歌に溢れている。

アルゲリッチならではの優れてユニークな、

みずみずしいバッハといえるだろう。」

(歌崎和彦、『ONTOMO MOOKクラシック名盤大全・器楽曲編』、1998年)

 

 

「アルゲリッチ初の

バッハ・アルバムとして注目されたディスクである。

彼女の精巧なテクニック、

輝きに満ちた音色、しなやかなリズム感、

個性的な閃きなどが一体となって、

生命力に富む演奏が繰り広げられている。

時として自由奔放な動きも見られるが、

天性の優れたバランス感覚を発揮して演奏の形を美しく整え、

バッハの音楽を感興豊かにまとめあげている。

その表現は確信に満ちているが、

演奏の流れが見事に統括され、美しい彫琢を見せる。」

(原明美、『ONTOMO MOOKクラシック不滅の名盤1000』、2007年)

 

 


■収録曲

 

ヨハン・セバスティアン・バッハ

 1. トッカータ ハ短調 BWV911

 

パルティータ 第2番 ハ短調 BWV826

2. 第1曲 シンフォニア

3. 第2曲 アルマンド

4. 第3曲 クーラント

5. 第4曲 サラバンド

6. 第5曲 ロンドー

7. 第6曲 カプリッチョ

 

イギリス組曲 第2番 イ短調 BWV807

8. 第1曲 プレリュード

9. 第2曲 アルマンド

10. 第3曲 クーラント

11. 第4曲 サラバンド

12. 第5曲 ブーレI/II

13. 第6曲 ジーグ

 

演奏

マルタ・アルゲリッチ(ピアノ)

 

[録音] 1979年2月6日〜9日、

ベルリン、スタジオ・ランクヴィッツ(現ジーメンス=ヴィラ)

 

[初出] 2521088(1980年)

[日本盤初出] MG1249(1980年6月1日)

[オリジナル・レコーディング]

[エクゼクティヴ・プロデューサー] Dr.ルドルフ・ヴェルナー

[バランス・エンジニア] ハインツ・ヴィルトハーゲン

[レコーディング・エンジニア] ライナー・ヘプフナー

[エディテイング] ユルゲン・ブルグリン

 [Super Audio CDプロデューサー] 大間知基彰(エソテリック株式会社)

[Super Audio CDリマスタリング・エンジニア] 杉本一家

(JVCマスタリングセンター(代官山スタジオ))

[Super Audio CDオーサリング] 藤田厚夫(有限会社エフ)

[解説] 諸石幸生 黒田恭一

[企画・販売] エソテリック株式会社

[企画・協力] 東京電化株式会社