SACD ハイブリッド

1970年代のカラヤン

ベルリン・フィルの堂々たる

充実ぶりを刻印したレスピーギ。

1969年 サン・モリッツ録音の

名品をカップリング。  

 
レスピーギ:交響詩

「ローマの松」&「ローマの噴水」、

アルビノーニのアダージョ 他

ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮、

ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

 

価格:3,457円(税込)
ESSG-90162[SACD Hybrid]
DSD MASTERING
Super Audio CD層:2チャンネル・ステレオ[マルチなし]
美麗豪華・紙製デジパック・パッケージ使用

SOLD OUT!



カラヤン+ベルリン・フィルとの絶頂期の記録  

 

ヘルベルト・フォン・カラヤン(1908〜1989)は、

レコード録音に対して終生変わらぬ

情熱を持って取り組んだパイオニア的存在であり、

残された録音もSP時代からデジタル録音まで、

膨大な量にのぼります。

 

常に新しいテクノロジーに関心を抱き、

その推進には協力を惜しまず、

コンパクトディスクの開発や映像収録についても

先見の明を持っていました。

当シリーズではこれまでにも

それぞれに特徴のある

エポックメイキングな

カラヤンの名盤を復刻してまいりましたが、

いよいよ待ちに待った1977/78年という

カラヤン=ベルリン・フィル絶頂期の

レスピーギの交響詩2曲が登場いたします。

 

しかもカップリングに

1969年にスイスのサン・モリッツで収録された

小品3曲を加えての

Super Audio CDハイブリッド化となります。  





ようやく実現したベルリン・フィルとのレスピーギ     

 

レスピーギの「ローマ三部作」の3曲の交響詩は、

いずれも演奏に当たって多彩な音色や

ダイナミック・レンジの幅広さ、

個々の奏者の演奏技術の高さや

アンサンブルの緊密さが要求される作品で、

しかもドラマティックな効果が高いため、

特にステレオ録音の導入以降、

レコード会社がこぞって

録音するレパートリーとなりました。

 

カラヤンもステレオ初期の

1958年にフィルハーモニア管弦楽団と

「ローマの松」をEMIに録音しており、

この時期のカラヤンを代表する名演として

高く評価されていましたが、

なぜかベルリン・フィルとの録音には慎重な姿勢を貫き、

結局それから20年後にようやく実現しました。

 

この時は、カラヤンにとって初録音となった「

ローマの噴水」も録音され、

この2曲で1枚のLPとして1978年に発売されました

(カラヤンは「ローマ三部作」のうち

「ローマの祭り」は演奏会でも録音でも

取り上げることはありませんでした)。

 

1970年代といえば、

カラヤンとベルリン・フィルの絶頂期でもあり、

細部まで磨き抜かれた鉄壁のアンサンブルの中で、

完璧な美しさと名技を誇る

木管、重厚で艶やかな金管など、

世界最高の技量をもつ名物奏者たちが

華やかなソロを聴かせてくれます。

 

また厚みのある弦、

各パートの精巧無比な

統一感のある響き、

そしてオーケストラ全体を

広大に俯瞰するようなバランス作りなど、

カラヤンのもとで20世紀後半の

オーケストラ美学の頂点を極めていた

ベルリン・フィルの充実ぶりを

反映した超弩級の名演です。

 




圧倒的なダイナミック・レンジの広さを余すところなく収録

 

録音はベルリン・フィルが

本拠地としていた

ベルリン・フィルハーモニーで行われ、

絶頂期のベルリン・フィルでしか

成し得ない独自の響きが、

カラヤン録音の常連プロデューサーだった

ミシェル・グロッツ(「ローマの松」)と、

ミケランジェリからも全幅の信頼を置かれていた

コード・ガーベン(「ローマの噴水」)の

2人のプロデュースのもと、

DGのヴェテラン・エンジニア、ギュンター・ヘルマンスの

手腕によって見事に捉えられています。

 

特にひそやかなピアニッシモ

(「噴水」冒頭や「松」第2曲・第3曲、第4曲の冒頭)から

豪壮なフォルティッシモ(「松」第1曲)にいたる

ダイナミック・レンジの広さは特筆すべきで、

中でもオルガンや別働隊のブラスが加わった

オーケストラのトゥッティのスリリングなまでの

力強さが余すところなく収録された「松」第4曲は

全曲中随一の聴きものといえるでしょう。

ベルリン・フィルハーモニーという

広大な空間を生かした遠近感の表現の見事さ

(「松」第2曲での舞台裏でのトランペット・ソロ

[この録音では客席で吹いていると思われます]、

同第3曲のクラリネット・ソロなど)も、

このホールの音響特性を熟知していた

ドイツ・グラモフォン・スタッフの

見事な技術力を証明しています。

 



伝説的な1964〜72年のサン・モリッツ・セッション

 

レスピーギ2曲にカップリングされるのは、

1969年8月にスイスのサン・モリッツで収録された

オーケストラの小品3曲です。

カラヤンは1964年夏から

ザルツブルク音楽祭の合間を縫って、

毎年ここでベルリン・フィルと演奏会を行ないました。

 

カラヤンは

サン・モリッツに別荘を建てましたが、

その土地の譲渡条件が

ここでコンサートを開催するというものだったからです。

この夏のコンサートは

1973年のザルツブルグ聖霊降臨祭の

開始とともに終わりましたが、

それまではほぼ毎夏開催され、

それと並行してドイツ・グラモフォン/EMIによる

録音セッションも行なわれました

(従来は「夏の休暇を兼ねて

サン・モリッツで録音した」とされていましたが、

必ず演奏会と録音が組みこまれていました)。

 

サン・モリッツで演奏・収録されたのは

比較的編成の小さなヴィヴァルディ(四季)、

バッハ(ブランデンブルク協奏曲、管弦楽組曲、ヴァイオリン協奏曲)、

ヘンデル(合奏協奏曲)、

モーツァルト(ディヴェルティメント、

セレナード、管楽器のための協奏曲集)、

ハイドンなどバロック〜古典派の管弦楽曲がメインで、

レコード会社側としてはカラヤンと

ベルリン・フィルの録音レパートリーを、

さらに時代を遡って広げ、

より多彩にする意図もありました

(それ以外に、ロッシーニ「弦楽ソナタ」、

シュトラウス「メタモルフォーゼン」、

ストラヴィンスキー「ミューズに捧げられたアポロ」、

オネゲル「交響曲第2番」なども録音されています)。

 

カラヤン自身も、

またベルリン・フィルのメンバーも

風光明媚な

サン・モリッツでの仕事を心ゆくまで楽しみ、

シーズン中の緊密な録音セッションとは異なる

リラックスした雰囲気で進められたようです。

 

 



耽美的な「アルビノーニのアダージョ」を豪華カップリング

 

この一連のサン・モリッツ・セッションで

1969年夏に録音され1973年に

「ADAGIO」というタイトルで発売されたのが

アルビノーニ「アダージョ」、

パッヘルベル「カノン」、

ボッケリーニ「小弦楽五重奏曲」、

レスピーギ「リュートのための古代舞曲とアリア第3組曲」の

4曲で、当ハイブリッドディスクには

その中からパッヘルベルを除く

3曲がカップリングされています。

 

この時がカラヤンにとって

これらの作品の初録音であり、

しかもボッケリーニとレスピーギは

唯一の録音となりました。

弦楽アンサンブルを主体とする小編成とはいえ、

ベルリン・フィルらしいしなやかで

ダイナミック・レンジの広い演奏が繰り広げられており、

セッションが行なわれたフランス教会(1870年代に建立)の

美しいアコースティックとともに耳に残ります。

 

特にアルビノーニ「アダージョ」の

溶けるようなレガートの耽美的な趣は

「カラヤン美学」の一つの頂点であり、

カラヤン没後の1995年に発売され

500万枚の売り上げを記録した

「カラヤン・アダージョ」にも収録され、

カラヤンという指揮者のイメージを

後世に決定づけたという曲となったという点でも

大きな意味を持つものでしょう

(ちなみに「カラヤン・アダージョ」に収録されたのは

1983年の同曲のデジタル再録音の方です)。

 





最高の状態でのSuper Audio CDハイブリッド化が実現
  
 

レスピーギの交響詩も小品も、

デジタル初期から早々にCD化され、

何度も再発されている名盤ですが

 

今回の

Super Audio CDハイブリッド化に当たっては、

これまで同様、使用するマスターテープの選定から、

最終的なDSDマスタリングの行程に至るまで、

妥協を排した作業が行われています。

 

特にDSDマスタリングにあたっては、

DAコンバーターとルビジウムクロックジェネレーターに、

入念に調整されたESOTERICの最高級機材を投入、

またMEXCELケーブルを惜しげもなく使用することで、

オリジナル・マスターの持つ情報を余すところなく

ディスク化することができました。

 




「カラヤンとBPOの驚くべき表現能力が遺憾なく発揮された演奏」     

  

「カラヤンとBPOの驚くべき表現能力が

遺憾なく発揮された両曲の演奏だ。

音で表現しうるものはすべて、

このレコードに刻み込んでおこうとでも

決意しているかのような彼らの姿勢には、

まさに圧倒されてしまう。

これら両曲は一つの風景描写的な音楽として、

もっと軽くアプローチするような方法もあると思うけれど、

カラヤンらはそうはしようとせず、

まるでベートーヴェンの交響曲に対する時のように

全力投球で挑んでいる。

そこらあたりが、

この演奏が持つスリリングな要素といえるだろう。」

(吉井亜彦、『レコード芸術別冊・クラシック・レコード・ブックVOL.2管弦楽曲編』1985年)

 

「カラヤンが四半世紀近くをかけて磨きに磨いた

BPOの響きと表現力が最高度に発揮された演奏である。

初録音であった《噴水》の第1曲で霧が流れ、

次第に晴れてゆく様子など、

まことに絶妙な色彩感と細やかなタッチで

名匠の作品を見るような趣さえある。

細部の描写をここまで徹底するとともに、

常に爽やかな風がすっと吹き抜けていくような

軽やかな流れと見通しの良さを失うことがないのは、

まさにカラヤンとBPOならではの至芸だろう。

一方POとの録音があった《松》は、BPOの

ヴィルトゥオーゾ・オーケストラつぃての凄さを

正面から示した演奏で、カラヤンの劇的な構成力が

遺憾なく発揮されている。」

(歌崎和彦、『クラシック名盤大全・管弦楽曲編』、1998年)

 

 


■収録曲

 

オットリーノ・レスピーギ

交響詩《ローマの噴水》

1. 第1曲 夜明けのジュリアの谷の噴水

2. 第2曲 朝のトリトーンの噴水

3. 第3曲 真昼のトレヴィの噴水

 4. 第4曲 たそがれのメディチ荘の噴水

 

交響詩《ローマの松》

 5. 第1曲 ボルゲーゼ荘の松

 6. 第2曲 カタコンブ付近の松

7. 第3曲 ジャニコロの松

8. 第4曲 アッピア街道の松

 

リュートのための古風な舞曲とアリア -

管弦楽のための流麗な変奏曲

第3組曲

9. 第1曲 イタリアーナ

10. 第2曲 宮廷のアリア

11. 第3曲 シチリアーナ

12. 第4曲 パッサカリア

 

ルイジ・ボッケリーニ

小五重奏曲《マドリードの夜警隊の行進》 作品30の6

13. 導入

14. メヌエット

15. ラルゴ・アッサイ

 16. パッサカリア

 17. リティラータ(撤退) トマーゾ・アルビノーニ

 18. アダージョ ト短調

ヴォルフガング・マイヤー(オルガン)

 

 演奏

 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

指揮: ヘルベルト・フォン・カラヤン

 

[録音]

1977年、1978年1月&2月、ベルリン、フィルハーモニー(1-8)、

1969年8月、サン・モリッツ、フランス教会(9-18)

 

 [LP初出] 2531055(1-8)(1978年)、2530247(1973年)

[日本盤LP初出] MG1157(1978年12月1日)、MG2392(1973年7月)

[オリジナル・レコーディング]

[エクゼクティヴ・プロデューサー]

 Dr.ハンス・ヒルシュ、マグラデーネ・パードベルク(1-8)、

オットー・ゲルデス(9-18)

[プロデューサー] コード・ガーベン(1-4)、

ミシェル・グロッツ(5-8)、ハンス・ヴェーバー(9-18)

 [バランス・エンジニア] ギュンター・ヘルマンス

[レコーディング・エンジニア] フォルカー・マルティン、

ライナー・ヘープナー(1-8)、フォルカー・マルティン(9-18)

[Super Audio CDプロデューサー] 大間知基彰(エソテリック株式会社)

 [Super Audio CDリマスタリング・エンジニア] 杉本一家

(JVCマスタリングセンター(代官山スタジオ))

 [Super Audio CDオーサリング] 藤田厚夫(有限会社エフ)

 [解説] 諸石幸生 永田美穂

[企画・販売] エソテリック株式会社

[企画・協力] 東京電化株式会社