SACD ハイブリッド

クーベリック最高の燃焼度を感じさせるアナログ時代決定盤。   

 
ドヴォルザーク:スラヴ舞曲集(全曲)

ラファエル・クーベリック(指揮)

バイエルン放送交響楽団

 

価格:3,457円(税込)
ESSG-90169[SACD Hybrid]
DSD MASTERING
Super Audio CD層:2チャンネル・ステレオ[マルチなし]
美麗豪華・紙製デジパック・パッケージ使用

SOLD OUT!



心技体ともに最高潮にあった1970年代のクーベリック  

1961年にバイエルン放送交響楽団の

首席指揮者に就任したクーベリックは、

1970年代になってその音楽活動を大きく飛躍させます。

1972年にニューヨークのメトロポリタン歌劇場の

史上初の音楽監督に就任し、

その軸足をアメリカにも置くことになったのです。

 

録音面でも、1960年代後半の4年間を費やして

手兵バイエルン放送響とマーラーの交響曲全曲を録音し、

バーンスタインのコロンビア盤、

アブラヴァネルのヴァンガード盤と

ほぼ同時期に完成したステレオ録音による

最初期の全集の一組を完成させるという

大業を成し遂げ、1970年代に入ると

いよいよドヴォルザーク作品に目を向けます。

 

交響曲全集は

1971〜73年にかけてベルリン・フィルと、

その後、1973〜76年にかけて交響詩、序曲、

そして大作スターバト・マーテルを

バイエルン放送響と、伝説曲をイギリス室内管と

続々と録音し、故国チェコの大作曲家への熱いオマージュを

思わせる名盤を生み出しています。

 

クーベリックは並行して、バイエルン放送響と

ウェーバーの歌劇(オベロン)、

ワーグナーの歌劇(ローエングリン)や

プフィッツナーの歌劇(パレストリーナ)といった

オペラ全曲盤、

ヤナーチェクの(グラゴール・ミサ)などを録音し、

さらに世界の9つのオーケストラを振り分けての

ベートーヴェンの交響曲全集を手掛けるなど、

録音アーティストとして八面六臂の活躍ぶりでした。  





最高の燃焼度を感じさせる「スラヴ舞曲集」     

 

1973 〜 74 年に録音された「スラヴ舞曲集」は、

これらの充実 した録音活動の中でも、

ひときわ輝きを 放つ名演といえるでしょう。

 

クーベリックは

一種フルトヴェングラー的な気質を持っていたとされ、

聴衆を 前にしたライヴとセッション録音とでは

異なる印象を与えることがありました。

 

セッション録音でのバランスの良さとクオリティの高さ、

そして聴衆を背後に感じた時のライヴでの破格の燃焼度。

この 2 つはいずれもクーベリックの

音楽の特質を示したものですが、

「スラヴ舞曲集」はいわばセッション録音の緻密さに

ライヴの燃焼度と即興性を

持ち込んだ演奏といえるでしょう。

全体的に湧き立つような

早めの推進力のあるテンポが採られ、

その中で野卑にならない

ギリギリのところで見事な緩急が付けられています。

 

細部の彫琢は入念に整えられており、

ちょっとした打楽器や木管のアクセント一つが意味深く響き、

対 旋律が埋没することなく絶妙なバランスで

引き立つよう目配りされていることで立体感を増しており

(立体感という点ではヴァイオリン・パートを

左右に分ける配置も功を奏しています)、

指揮者とオーケストラ が作品を知り尽くし

文字通り一体化していることが判ります。

熱狂と哀愁とが絶妙に交錯する作品の本質を

あくまでも自然な流れの中で描き出す手腕は、

全盛 期のクーベリックならではといえるでしょう。

 

クーベリックは 1955 年にウィーン・フィルを指揮して

この曲集をモノラル録音(英デッカ)しており、

オーケストラのローカルな響きの魅力に聴くべきものはありますが、

オーケストラの機能性の高さ、解釈の徹底度を考えると、

このバイエルン放送響盤の優位は揺るぎません。

この曲集はフルトヴェングラー、

カラヤン、ベーム、バーンスタインといった

レコードでの人気指揮者が全曲盤を残さなかったにもかかわらず、

LP 初期から定盤とされる録音に恵まれており、

ステレオ時代に入ってからは

50 年代のドラテ ィ / ミ ネアポリス響(米マーキュリー)、

 60 年代のセル / クリーヴランド管(米コロンビア)、

70 年代のノイマン / チェコ・フィル(スプラフォン)などが

決定盤とされてきました。

 

このクーベリック / バイエルン放送響盤は、

それらと並んで発売以来現在に至るまで、

この曲集の本質を最も鮮やかに描き出した演奏として、

カタ ログから消えることなく聴き継がれてきています。

 




最高の状態での Super Audio CD ハイブリッド化が実現

 

録音は

1950 年代からミュンヘンの録音会場と して使われ、

その優れた音響で知られる

ヘルクレスザールで行なわれました。

 

 1986 年にガスタイク・フィルハーモニーが出来るまでは

バイエルン 放送響の定期演奏会も

すべてここで開催されていました。

 

1800 人以上を収容できる典型的な

シューボックス形式のホールで、

細部をマスクしすぎない適度な残響感、

高域から低域までバラ ンスのとれた響きの 2 点で、

録音には最適であり、 マウリツィオ・ポリーニも好んで

そのソロ録音をここで行なってきました。

 

ドイツ・グラモフォンによる

クーベリックとバイエルン放送響の録音も

一部を除いてこのホールで行なわれており、

会場の特性を知り尽くした

安定感のあるバランスが聴きものです。

 

ドイツ・グラモフォンならではの

オーケストラ全体を俯瞰できるサウンドの中で、

木管や打楽器など重要な

ソロ・パートが適度な明晰さを持って

クローズアップされています。

 

名盤だけにデジタル初 期に CD 化されて以来、

オリジナルスでのリマスターのほか、

2011 年には SHM - SACD 仕様でもシング ルレイヤーの

Super Audio CD として発売されてきました。

 

今回の

 Super Audio CD ハイブリッド 化に当たっては、

これまで 同様、使用するマスターテープの選定から、

最終的な DSD マスタリングの行程に 至 るまで、

妥協を排した作業が行われています。

 

特に DSD マスタリングにあたっては、

DA コンバーターと ルビジウムクロックジェネレーター に、

入念に調整 された ESOTERIC の最高級機材を投入、

また MEXCEL ケーブルを惜しげもなく使用することで、

オリジナル・マ スターの持つ情報を余すところなく

ディスク化することができました。

 



「作品のはち切れるような生命力を生かした、いわば理想的な演奏」

 

『作品のはち切れるような生命力を生かしながら、

一方ではデリケートなニュアンスの移ろいを十二分に併有した、

いわば理想的な演奏。どんなに激しい部分でも、

ダイナミックでリズムが弾み、バランス は最高に保たれ、

トゥッティは濁らず、音彩は虹のように多彩に変化してゆく。

典雅で詩情に満ち、す みずみにまで神経と情感が行きとどいている。』

(『レコード芸術』 1976 年 6 月号、推薦盤)

 

 

『クーベリックはこれらの曲を完全に手中に収め、

動的な激しい部分と甘美で抒情的な部分とのバラ ンスを巧みにとりながら、

それぞれの曲の性格をものの見事に再現している。

どの曲も実に豊かな表現 で、チェコ人としての

クーベリックの知の躍動が全編に感じられる。

オーケストラもクーベリ ックの棒によ くついていて好演である。』

(志鳥栄八郎、『レコード芸術別冊・クラシック・レコード・ブック VOL.2 管弦 楽曲編』、 1985 年)

 

 

 『クーベリックの音楽的特質は、

何よりもそのポリフォニックな声部への配慮と、

その各声部へのセン シティヴでありながらも入念な表情付けにある。

ドヴォルザークの民族精神の発露ともいうべきこの曲集においても、

クーベリックはその豊かな音楽性を発揮して、

稀に見る立体的で自発的に満ちた音楽の 飛翔を具現している。

長年にわたりクーベリックの薫陶を受けていた

バイエルン放送交響楽団の音楽 性の高い

アンサンブルの有機性も特筆すべきであろう。』

(國土潤一、『クラシック名盤大全・管弦楽曲 編』、 1998 年)

 

 

『当盤では、第 1 番の冒頭からトレモロを

叩き出すティンパニが強い存在感を主張し、

推進力に富ん だ快演を展開。全体的に早めのテンポを設定しながら、

単に勢いよく弾むだけではなく、副次的なモティーフや

伴奏音型にも入念な表情が施されている。

商業録音の成果に関しては、

とかく中庸と評されることが多かったクーベリックであるが、

当盤所収の演奏は、第 5 番、第 7 番、第 9 番など、

至るとこ ろで音楽が沸き立っているのが特徴的。

この曲集に対するクーベリックの並々ならぬ

心情がストレート に反映された名盤である。』

(満津岡信安、『レコード芸術選定 クラシック不滅の名盤 1000 』、 2007 年)

 

 

『クーベリックはチェコの人々にとって《スラヴ舞曲集》は

きわめて神聖な音楽であると語っているが、

そうした作品のもつ神聖さと民族性を、

このように豊かな音楽性をもってバランスよく表現した演奏もないだろう。

作品を完全に手中に収めているだけでなく、

1 曲 1 曲が常に清新な喜びを持って表現された

演奏はいかにも品格美しく詩情豊かであり、

舞曲集らしい華やぎや流麗さにも 不足がない。

中でも 抒情的な部分での繊細な表現力は素晴らしい聴きもので、

長年の手兵であるバイエルン放送交響楽団も

その妙演に見事にこたえている。』

(歌崎和彦、『クラシック名盤大全』、 2015 年)

 

 


■収録曲

 

ドヴォルザーク

スラヴ舞曲集 作品 46

 

[ 1 ] 第 1 番ハ長調 作品 46 の 1

[ 2 ] 第 2 番ホ短調 作品 46 の 2

[ 3 ] 第 3 番ニ長調 作品 46 の 3

[ 4 ] 第 4 番 へ 長調 作品 46 の 4

[ 5 ] 第 5 番イ長調 作品 46 の 5

 [ 6 ] 第 6 番変イ長調 作品 46 の 6

[ 7 ] 第 7 番ハ短調 作品 46 の 7

[ 8 ] 第 8 番ト短調 作品 46 の 8 スラヴ舞曲集 作品 72

 [ 9 ] 第 9 番ロ長調 作品 72 の 1

[ 10 ] 第 10 番ホ短調 作品 72 の 2

[ 11 ] 第 11 番 へ 長調 作品 72 の 3

[ 12 ] 第 12 番変ニ長調 作品 72 の 4

[ 13 ] 第 13 番変ロ短調 作品 72 の 5

[ 14 ] 第 14 番変ロ長調 作品 72 の 6

 [ 15 ] 第 15 番ハ長調 作品 72 の 7

 [ 16 ] 第 16 番変イ長調 作品 72 の 8

 

バイエルン放送交響楽団

指揮 : ラファエル・クーベリック

 

[録音]

1973 年 12 月 10 日、 13 日、 16 日( 1 - 8 )、

 1974 年 6 月( 9 - 16 )、ミュンヘン、ヘルクレスザール

 

[アナログ・レ コーディング] [ LP 初出]

 1 - 8 : 2530 466 ( 1975 年 / スケルツォ・カプリチオーソとのカップリング)、

9 - 16 : 2530 593 ( 1976 年 / 序曲「わが家」とのカップリング)

[日本盤 LP 初出]

 1 - 8 : MG2489 ( 1975 年 4 月 21 日 / スケルツォ・カプリチ オーソとのカップリング)、

 9 - 16 : MG1010 (1976 年 7 月 1 日 / 序曲「わが家」とのカップリング )

 1 - 16 の全曲が LP1 枚に なったのは 15MG3055 ( 1984 年 11 月 1 日)が初めてである。

 

[オリジナル・レコーディング][エクゼクティヴ・プロデューサー]

Dr. ハンス・ヒルシュ、ルドルフ・ヴェルナー( 9 - 16 )

[プロ デューサー]ハンス・ヴェーバー

[バランス・エンジニア]ハインツ・ヴィルトハーゲン

 

[ Super Audio CD プロデューサー]大間知基彰(エソテリック株式会社)

 

[ Super Audio CD リマスタリング・エンジニア] 杉本 一家

( JVC マスタリングセンター ( 代官山スタジオ ) )

 

[ Super A udio CD オーサリング]藤田厚夫(有限会社エフ)

[解説] 諸石幸生 藁科雅美

 [企画・販売]エソテリック 株式会社

[ 企画・協力 ] 東京電化株式会社